TAVI経カテーテル的大動脈弁留置術

TAVIは、重症の大動脈弁狭窄症に対するカテーテル治療です。
重症大動脈弁狭窄症に対する標準的な治療法は、開胸して行う外科的大動脈弁置換術ですが、高齢な方や他の疾病で外科的手術が困難であった患者さんへの選択肢の一つとして開発され、徐々にその適応が広がってきています。

治療実績

403

(2024/04/01現在)

  • 経大腿動脈アプローチ(TF)
    330件
  • 経心尖アプローチ(TA)
    51件
  • 経大動脈アプローチ(TAo)
    22件

TAVI専門施設に認定

当院は、広島県東部地区初のTAVI実施施設として、2015年12月より、TAVI治療を開始しました。
現在では年間50名以上、累計300名以上の患者さんに治療を行っています。
2022年6月からは、広島県では3施設目となる『TAVI専門施設※1』に認定されました。

  • 2015年12月
    1例目 広島県東部地区初(広島県内3施設目)
  • 2019年7月
    100例目
  • 2021年7月
    200例目
  • 2022年7月
    TAVinSAV治療開始
  • 2022年6月
    広島県東部地区初の『TAVI専門病院※1』に認定
  • 2023年3月
    300例目
※1:
TAVI専門施設…年間50例以上のTAVI治療を行っているなど、一定の基準を満たした施設が認定されています。

TAVI治療件数の推移

2020年に大動脈弁狭窄症に対する治療ガイドラインが改訂され、重症大動脈弁狭窄症の全ての患者さんにTAVI治療が可能となりました。

明確な年齢基準は決まっておりませんが、優先的に考慮するおおまかな目安として、

80歳以上がTAVI、75歳未満は外科的大動脈弁置換術となっております。

当院では、患者さんの年齢、症状、全身状態などを考慮した上で、最適な治療をご提案します。

TAVIとは

TAVIは、経カテーテル的大動脈弁留置術:Transcatheter Aortic Valve Implantation の略で、重症の大動脈弁狭窄症に対するカテーテル治療です。

大動脈弁狭窄症は、石灰化などが原因で心臓の弁の一つである大動脈弁の開きが悪くなり、血液を全身に送り出しにくくなってしまう病気のことで、症状が進行すると動悸や安静時の息切れ、疲れやすさといった症状が現れ、重症化すると失神、場合によっては突然死に至ることもあります。
TAVIは、カテーテルを使って新しい弁(人工弁)を心臓に留置する為、大きく胸を切る必要や心臓を止める必要が無く、身体への負担の少ない(低侵襲)手術と言えます。
当院では、2種類(バルーン拡張型人工弁と自己拡張型人工弁)の人工弁を使用して、患者さんの状態や弁の形状に合わせた、最適な治療をご提供させていただいています。

  • バルーン拡張型人工弁

    バルーン拡張型人工弁

    バルーン拡張型デバイスによるTAVI
    経心尖アプローチ(TA)

  • 自己拡張型人工弁

    自己拡張型人工弁

    自己拡張型デバイスによるTAVI
    経大腿動脈アプローチ(TF)

TAV in SAV

外科的大動脈弁置換術後の生体弁機能不全に対するTAVI

外科手術で使用する生体弁は、耐久年数が約10~20年と言われています。
生体弁を用いた外科的大動脈弁置換術を行った患者さんで、その後、生体弁が狭窄や逆流をきたすことがあり、正常に機能しなくなった状態を「生体弁機能不全」と言います。

生体弁機能不全になった大動脈弁は、再度開胸し、外科的に新しい弁に変える方法しかありませんでしたが、2回目の手術は侵襲度が高く、ご高齢の方や他の疾患がある方には、リスクの高い手術となっていました。

TAV in SAV は、機能不全に陥った生体弁の内側にカテーテルを用いてTAVI弁を留置する治療です。
基本的には通常のTAVIと同様の手技で、開胸することなく治療が可能となっており、生体弁機能不全の方の治療の選択肢の一つとなっています。

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エドワーズライフサイエンス(株)
日本メドトロニック