Sutureless valve
縫わない大動脈弁置換術
Sutureless valve
スーチャーレスバルブ
Sutureless valve(スーチャーレスバルブ)とは、Suture(縫合)less(しない)valve(弁)を合わせた言葉で、その名の通り、縫わない生体弁(縫合が不要または3カ所のみ)を用いた外科手術となっています。
一般的に心臓を止める時間が長いほど、死亡率や手術後の合併症発生率が上がる傾向にあります。
大動脈弁置換術を受ける患者さんの中には、他の心臓大血管手術(冠動脈バイパス術や僧帽弁置換術など)が同時に必要な場合があり、このような複合手術の場合は、手術時間や心臓を止めておく時間が長くなる場合がある為、時間の短縮が求められます。
当院で使用している2種類の生体弁は、最低限の縫合とバルーンによる拡張で留置する為、弁置換にかかる時間が大幅に短縮でき、さらに留置までの手技を簡素化することが可能です。
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Rapid deployment valve
3本の縫合とバルーンによるフレームの拡張によって弁を留置できるため、手術手技が簡素化され、より効率的な手術が行えます。さらに小切開手術での視認性も高まります。
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Sutureless valve
100%無縫合弁で、従来の手術方法や小切開手術など、幅広い手術方法に対応できるようになっています。縫い付ける糸を使わない代わりに、ステントの力で弁を圧着させ固定させます。
この生体弁を用いた大動脈弁置換術は、心臓の機能が悪い方や長時間の手術が予想される場合に特に有用で、MICS(低侵襲心臓手術)にも適応があります。
しかし、デメリットとしては、TAVIと同様にステントというバネで固定する為、生体弁を縫合する手術よりペースメーカーが必要となることがやや多いことが挙げられます。
それぞれの治療には利点・欠点があります。
当院では、患者さんの全身状態や各検査の結果を踏まえた上で、個々の患者さんにあった最善の治療をご提案しています。
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コーシムジャパン株式会社